ダイソンは、メンタルヘルスケア家電

 

正直、ダイソンは苦手でした。
何が苦手かって、あのCM。あの自信満々で威圧的なナレーション。
それにあの、空間に馴染まないデザイン、カラー。
オレンジやら紫やら、なぜそんなに派手な色ばかり?

それなのに私、ダイソンを買ってしまいました。

今までコードレス掃除機と言えばマキタ一択。軽くて扱いやすく、ズボラな私でも抵抗なく掃除機がかけられるのが最大の魅力です。コード式掃除機なんて、出すだけで面倒で、なかなかやる気が起こらないのです。

ただ、愛用中のマキタもバッテリーの寿命が近づき、本体もだいぶくたびれてきました。

今よりもパワーのある機種に買い替えようと思い立ち、最近は家電量販店にマキタも売ってるから、とエディオンへ。

マキタを買うつもりで来たのですが、せっかくの機会なので、お高めのコードレス掃除機をアレコレお試し。今どきはどれも結構パワフルで個性的なデザインのものばかりで、マキタがチープに思えてきます(比較したクリーナーはマキタの3倍ほどのお値段なので当然と言えば当然なのですが)。試しているうちに、それまでのマキタ愛はすっかり影を潜め、パワーヘッドに気持ちが傾いていきました。

ただ、主要メーカーの上位機種となると、結構なお値段。てっきりダイソンだけバカ高いんだと思っていたのですが、そうでもなく。しかも、どれもデザインが気に入らない。ダイソンに対抗しているのか、未来的というか大袈裟なデザインで、無駄に存在感が有り過ぎて、私の部屋に馴染まない。

価格もデザイン(の気に入らなさ)も、ダイソンとあんまり変わらないんだな~と思っていたところに、ダイソンのポロシャツを来た女性が恐る恐る話しかけてきました。おとなしそうで声も小さく、販売員に向いていなさそうなその女性は、ダイソンのあのCMとは真逆のイメージ。でも、遠慮がちながらリアルな生活体験を交えた説明は、押しつけがましくなく、素直に耳に入ってきました。

その女性とやりとりするうちに、どうせどこのメーカーも同じくらいの値段だし、吸引力がずっと落ちないのはダイソンだけだって言うし、それならいっそのことダイソン買っちゃうか?みたいな気になってしまい(マキタはどこ行ったんだ、って話ですが)、自分でも驚くほどあっさりと購入を決断。

それまで、「デザインが嫌いなんですよねー」と、遠慮なくダイソンの悪口を言っていたので、まさか彼女も私が買うとは思っていなかったのか、驚いた様子でエディオンの店員に取り次ぎ、店員のおじさんが値引きしてくれ、私は表示価格よりも安くダイソンを手にいれました。それにしてもまさかあの嫌いなダイソンを買って帰ってくるなんて。

ダイソン 掃除機 コードレス Dyson Cyclone V10 Fluffy SV12FF SV12 FF

私の部屋でムダに存在感を放っているダイソンV10。吸引力は文句なし、本体の重さと強力なモーターヘッドの取り回しづらさに、マキタの軽さを懐かしく思いつつも、ゴミホルダーに容赦なく溜まるホコリに密かに興奮し、機嫌よく掃除機をかける日々です。

最初はあまりのホコリの量に、「今までの掃除は何だったんだ」とびっくりしましたが、いつしかそれは「これだけ取ってやったゾ!」というカタルシスに変わり、それはいかにも自分のモヤモヤが取り除かれたように気分爽快で、むしろ以前よりも頻繁に掃除機をかけるようになったかも。部屋をキレイにしたいっていうよりもむしろ、ホコリがどれだけ取れるか見たいってことなんですが、気分がスッキリした上に、部屋までキレイになるなら一石二鳥。そういえばダイソンの人も、「ホコリがごっそり取れるのが気持ち良くて、つい掃除機かけちゃう」って言ってたっけ。

相変わらず、CMもデザインも気に入らないけれど、吸引力に関しては大満足。どれだけ吸ってもすぐにホコリは溜まるけれど、溜まったホコリをごっそり取れば、心もスッキリ気持ち良い。私にとってはダイソンは、掃除家電というよりも、メンタルヘルスケア家電と言ってもいいくらいです。