Categories: ひとりごと

許せない男の話

仕事からの帰り道、とあるマンションの前で、かなりの確率で見かける光景がある。

マンションの住人らしき男性が、タバコを吸っている。

吸っているだけならいい。その男性、吸い終わると、吸い殻を側溝に捨てる。何度か目撃しているので、おそらく毎回捨てるのだろう。いつも部屋着姿で、いつも同じ時間帯に、同じ場所で吸い、同じフォームで捨て、マンションに戻っていく。

いかにもヤバそうなニイチャンとか、意識が朦朧としていそうなジイサンならともかく、いわゆる普通のサラリーマンを絵に描いたような風貌の男性は、おそらく幼い子供を持つパパである。そのマンションは、そこそこの収入がないと入居できないクラスの分譲マンションである。

そんな男が、自宅マンション前に毎回吸い殻を捨てる。それが私にはどうにも気に入らない。近所の目は気にならないのか?後ろ指差されてもいいのか?日々側溝の中に溜まっていく吸い殻は気にならないのか?

わざわざ部屋から外に出てきてタバコを吸うのだから、妻や子供の前ではタバコを吸わないのだろう。ニオイがつくから外で吸ってきてパパ、と言われているのかもしれない。マンションの敷地内だと捨てる場所がないから、敷地外まで来て吸い、始末が面倒だから側溝に捨てるのだろう。でもその行為、マンションの住人に見られてますから。通行人だってしっかり見てますから。

一連のルーティーンを見るにつけ、言いようのない苛立ちを覚える。私は側溝掃除をする係でも、そのマンションの住人でもないので、関係ないっちゃないのだが、通り過ぎる際、せめてもの怒りの表現として「信じられない!」といった表情をすることにしている(暗いので、表情は見えていないと信じている)。

 

吸い殻の始末ができない愛煙家と、フンの始末ができない愛犬家は、私が最も軽蔑する人間である。勤務先の事務所の前の道路には、どちらもしょっちゅう落ちている。そのまま放置しておく訳にもいかず、いつも仕方なく後始末をする。確実に犯人はいるのに、それを特定できず反撃もできず、こっちはただ黙って片付けるしかない。思い出すだけで怒りがフツフツと湧いてくる。

吸い終わったタバコのニオイは、愛煙家と言えども耐え難いことは理解できる。どんなにペットがカワイイといっても、クサいもんはクサい。後始末が面倒だと思う気持ちも、まぁ分かる。でも、それは自分が好き好んで行った結果の産物じゃないか。イヤなら吸うな、イヤなら飼うな、だ。

 

という訳で、私の目の前で堂々と吸い殻を捨てるこの男に、私が今までに被った全ての吸い殻とフンの被害をなすりつけ、怒りをぶつけている。彼にしてみれば、異様な視線を投げ掛けながら通り過ぎていく中年女は、気持ち悪い以外の何物でもないとは思うけれど。

ienonaka-haranonaka

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