お盆、嫌がらせのような親孝行をしてきた話

お盆休み中、実家の洗濯槽洗浄をした。

半年に一度のお泊りで、お風呂上りに使ったタオルが、嫌なニオイを放っていたからだ。

「ん?」

洗濯したタオルとは思えぬニオイ。生乾きのニオイともちょっと違う。何のニオイだろうと洗濯槽に頭を入れると、タオルと同じニオイがした。

「なぜこのニオイに気付かない?」

以前、「認知症になるとニオイの判別ができなくなる」というようなことをTVで言ってたような気がする。もしかして、両親もそういうことを疑わなきゃいけない時期に差し掛かったのか?

翌日すぐに洗濯槽クリーナーを買いに行った。

みんなが集まってる時にわざわざそんな事をしなくても。せっかく孫が遊びに来ている時に、不行届きを咎めるようなことをする鬼娘を、我ながら気の毒に思いながら、それでも洗浄せずにはいられなかった。親が認知症になってしまうかもしれない不安を、ニオイと一緒に消したかった。

洗濯槽には、逆に清々しいほど大量の水垢が浮いた。母は、「すごいねぇ!そういえば最近やってなかったから~!悪いわねぇ、こんなことまでやってもらっちゃって」とあっけらかんとしていた。

願わくば、もうしばらくの間は両親とも元気でいて欲しい。両親の老いを受け入れる準備が、まだ私には全くできていない。