林先生の言葉に乗せられて、広辞苑を買いました

先日、『広辞苑第七版』が刊行されました。

もっともらしいことを言っていますが、私はそんなこと知りませんでした。テレビで林先生が言ってました。

林先生によると、「辞書は引くものではなく、読むもの」なんだそう。林先生は大学時代に2回読破し、「知識人たるもの、改訂版が出るたびに辞書を読むのは当たり前」だとおっしゃいます。

自慢じゃないけど私、そんな立派な辞書開いたこともありません。でもなんか、林先生のお話を聞いていたら、やけに興味が湧いてしまって。

知識人とやらが当たり前におやりになることを私もやってみたら、もしかしたらもしかして、飛躍的に語彙力が上がっちゃうかもよ?と、知的になった自分を都合良くイメージしてみたりして。2回読んだからといって林先生のようになれないことはさすがに分かるけど、やってみたら何か変わるかもしれない。

一度そう思ってしまったらもう止まらない。次の休みの日、本屋さんへ。平置きにされている広辞苑を持ち上げた、その重さに驚きながらレジへと向かい、税抜8500円、税込9180円で迷うことなくお買い上げ。予定外の出費で財布は痛いけど、広辞苑用に特別に作られたと思われる黒いビニル袋を提げての帰路は、実に晴れがましい気分。

思えば子どもの頃、辞書をはじめ、ウチには立派な本が全然ないのがコンプレックスだった。何とか百科事典とか何とか全集とか、友達の家の本棚には見るからに御立派な本がズラリと並んでいたのに、ウチにはしょぼい『世界の昔話』シリーズみたいなのが何冊かと、従妹の誰かのお下がりだろうと思われる本が少しあるだけだった。今にして思えば、友達がその立派な百科事典を開いていたとも思わないし、学歴を持たない私の両親が二人の稼ぎだけで暮らす中で、百科事典を揃える余力などあるわけもないのだけれど、当時の私には、本棚に立派な本が並んでいないことが恥ずかしかった。そのコンプレックスのせいで、今(読みもしないくせに)バンバン買ってしまうんだろうな。

 

さて、広辞苑。
この辞書を開けば新しい世界が始まる…!そんな期待でページをめくった瞬間、パンパンに膨らんでいた期待はシュワシュワとしぼんだ。

字が小さい!小さすぎる!!

想像していた文字のサイズより、二回りは小さい!広辞苑の文字ってこんなに小さいのね。極小文字が行間ぎっしり並んでいて、眺めているだけで目がショボショボ、見てるだけでツラい!

買う時は、中身を見ることなく買ってしまった(辞書ですし)。まさか自分の眼が耐えられないなんて(早い話、老眼ってこと)。やる気がみなぎってる時って気持ちだけは高校生のように若いから、そんなこと考えもしませんでした。

 

そんなこともあって、まだ数回しか開いていない広辞苑。まだまだ続くよ【あ】の段は。それに、読んでて「へぇ~」とは思うけど、今のところ夢中になるまでの面白さは感じることもなく。まぁそれは眼の問題ではなく頭の問題ですね。

林先生、知の冒険に旅立とうと思ったのに、どうやら私は旅立てないみたいです。広辞苑を買って分かったのは、やっぱり私は知識人にはなれないということでした。でもせっかく買ったので、なるべく開くようにしたいと思います。

 

 

 

後で知ったのだけど、私が買ったのは〈普通版〉で、〈机上版〉は2冊+付録1冊で文字も大きいそうですね。少しお値段は張るけれど。ちゃんと調べてから買えば良かった…激しく後悔。